
英語の副詞は、英文における微妙なニュアンスを正確に伝えるために使われる、便利な品詞です。しかしながら、ルールや使い方を何となく理解していて、誤用されることが多い品詞でもあります。
この記事では、英語で副詞を使うときに守らなければならない重要ルールや、英文での副詞の使われ方を、例文を交えながら紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。
Contents
副詞は「追加情報を与える」役割がある
副詞の役割は、英文に追加情報を与え、意味をより詳細にすることです。なお、副詞は文型におけるSVOCいずれにも属さない修飾語(M)として機能し、述部などに追加情報を与えます。
副詞は情報を補うものですので、たとえ副詞を省いたとしてもほとんどの場合、文意は伝わります。しかし、副詞がないと英文がシンプルになりすぎて、内容の薄い味気ない文になってしまう場合もあります。
より細かい内容を伝えたい場合は、積極的に副詞を使っていくのが良いでしょう。
動詞の修飾
もっとも頻出する副詞の使われ方は、動詞などでおかれた述部(V)を副詞で修飾することです。副詞で動詞を修飾する場合、どこに副詞を置くかはかなり自由で、代表的なものとしては以下のようなパターンがあります。
He runs fast.
彼は速く走る。
He wrote a letter first.
まず、彼は手紙を書いた。
He often visits Kyoto.
彼はよく京都を訪れる。
コロケーションなどの観点から、この副詞はこの位置に来やすい、といった傾向はありますが、位置を間違えても文意が大幅に変わったりすることはありません。副詞の置き場所に関しては、あまりシビアになる必要はないといえます。
※コロケーション(collocation):慣習的に使われる「単語の組み合わせ」のこと。 ex.heavy rain (強い雨)
形容詞の修飾
一部の副詞は、形容詞を修飾することができます。「really」や「very」はその中でも頻出のものです。
その女の子は本当にかわいらしい。
その男性は年金を受け取るのに十分な年齢だ。
「enough」は、例外的に形容詞の後ろから修飾することになっていますので、注意しましょう。
文の修飾
カンマで区切ることで、副詞の効果を主節全体に及ばせることもできます。
驚くべきことに、メンバー全員がその災害から生還した。
上の例文の文頭に置いてある「surprisingly」は、それ一語が従属節として機能しており、以降の主節全体を修飾する形になっています。
なお、口語的ではありますが、カンマで区切ったうえで副詞を文末においても大丈夫です。後ろから文全体を修飾する形になります。
いつも、フォースとともにあらんことを。
スターウォーズの有名なフレーズである上の例文でも、文末のalwaysが文全体を修飾しています。
例外的に名詞を修飾する場合もある
かなり限定的ではありますが、名詞を修飾する場合もあります。「only」や「even」などは、名詞を修飾することができる副詞です。
一つだけです。
子供でもできることです。
このonlyやevenは形容詞のように見えるのですが、文法上のカテゴリは副詞になります。
副詞でできる追加情報1:「日時」
「today」や「yesterday」など、動作や状態がいつ起きる、起きたものなのかを示す際に、副詞が使われます。atやinなどを用いてももちろん表現できるのですが、副詞でも可能です。
今日、特に予定はない。
昨日本を読んだ。
日時を表す代表的な副詞
- today 今日
- yesterday 昨日
- everyday 毎日
- now 今
- after 後で
- before 前に
- tomorrow 明日
- soon すぐに
- then そのとき
- later 後で
- recently 最近
副詞でできる追加情報2:「頻度」
「毎日のように行う」、「たまに行う」、「ほとんどない」などの、動作や現象が発生する「頻度」の情報を加える際にも、副詞が役に立ちます。
よく中国を訪れる。
ビールを飲むことはほとんどない。
頻度を表す代表的な副詞
- always いつも
- generally いつも
- normally ふだん
- almost ほとんど
- usually たいてい
- frequently 頻繁に
- often しばしば
- sometimes ときどき
- occasionally たまに
- rarely めったに~ない
- seldom めったに~ない
- scarcely ほとんど~ない
- hardly ほとんど~ない
- never まったくない
- routinely 定期的に
- regularly 定期的に
- periodically 定期的に
副詞でできる追加情報3:「場所」
副詞で動作や状態が起きている場所を示すこともできます。「in+場所」や、「at+場所」と似たようなニュアンスです。
あそこにカップを置いてください。
海外で働くことは並大抵なことではない。
早く家に帰りなさい。
場所を表す代表的な副詞
- home 家で
- abroad 海外で
- there そこで
- here ここで
- somewhere どこかで
- upstairs 階段の上へ
- downstairs 階段の下へ
- overseas 海外で
副詞でできる追加情報4:「程度」
「ものすごい」、「すこしだけ」、「まあまあ」といったような、程度を副詞で示すこともできます。こうしたフレーズを使えば、比較などの定量表現をスマートに行うことができます。
売上が大幅に改善された。
この商品は抜群に良い。
程度を表す代表的な副詞
- much とても
- significantly とても
- quite かなり
- enough 十分に
- too とても
- little ほとんど~ない
- few ほとんど~ない
- considerably ものすごく
- very とても
- slightly すこしだけ
- relatively 比較的
- greatly とても
副詞でできる追加情報5:「状態」
状態の良し悪しも、副詞で表現できます。状態を示す形容詞に対し、状態を示す副詞でさらに補強して、より詳細な状況を表すような使われ方が多いです。
このコンピュータは著しく損傷している。
完全に回復しました。
状態を表す代表的な副詞
- badly 悪い
- perfectly 完璧に
- fast 速い
- slowly ゆっくり
- quickly すばやい
副詞でできる追加情報6:「原因・結果」
何か生じた原因や、その結果どうなったか、というメッセージを、副詞を使ってクリアにすることもできます。論理的な文章を書いたり、筋道を明確にするのに役に立ちます。
最終的に、挑戦者が勝った。
そして、ランプが赤になった。
原因・結果を表す代表的な副詞
- consequently 結果的に
- subsequently 次に
- intrinsically 本質的に
- then そして
- therefore そのため
- finally 最終的に
- lastly 最後には
副詞でできる追加情報7:「確度」
何かが起きる可能性を示すときに、確度を示す副詞が使えます。間違いなくそうなのか、もしかしたらそうなのか、といった情報を追加することができます。
多分、私が間違っている。
また会えたらいいですね。
確度を表す代表的な副詞
- undoubtedly 疑いようのなく
- definitely 間違いなく
- surely 間違いなく
- possibly おそらく
- hopefully 願わくば
- perhaps たぶん
- maybe たぶん
末尾が「ly」の単語は副詞の可能性大!
副詞の語尾は、「-ly」になっている場合が多いのも注目すべき点でしょう。それも、「形容詞+ly」であるパターンが多いため、初見の英単語でもその品詞と意味を推測することが可能です。
- interesting→interestingly 面白く
- surprising→surprisingly 驚くほど
- total→totally 全く
なお、このパターンに当てはまらない副詞もありますので注意しておきましょう。
また、「seldom」や「often」などは、派生元がない副詞です。このタイプの副詞は、知らないとわからないので、文脈や単語自体から意味を推測することは困難です。
もちろん、副詞の意味を最初から覚えておくに越したことはありません。パターンも様々ですので、地道な努力で暗記していくことがやはり正攻法です。
英語の副詞まとめ
英語の副詞は、英文に追加情報を与える役割を果たします。
副詞を置くことで、より詳細な内容を伝えられるようになりますので、スピーキングやライティングの際にも積極的に使っていくべきでしょう。副詞は英語の厳格なルールである英文中の位置に縛られることがないので、比較的自由に使うことができますよ。
また、英語の副詞は、どんな情報を追加できるのかが7種類にパターン化されます。パターンごとに、少しずつ頻出単語を覚えていきましょう。