英語の仮定法は、高校英語で初めて習う比較的レベルの高いテクニックです。パターンも多く、英語上級者でもかなり苦戦します。しかし、その基本的な考え方からきっちりと学んでいけば、時間はかかりますが誰でも英語の仮定法をマスターすることは可能です。

この記事では、英語の難関である仮定法にフォーカスを当てて、その使い方を基礎から応用までまとめてみました。英語学習において、仮定法で挫折した人には必見の内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

英語の仮定法は「ありえないことを仮定する」ときに使う

英語の仮定法を一言でいえば、「絶対に起きえない、ありえないことを仮定して話を進める」テクニックです。何かを比喩的に例えたり、ジョーク交じりに使われたりすることが多いです。

例えば、「1日が25時間だったら」「富士山がもしも8000mだったら」、といったことを「仮定」して話を進めるのが、英語の仮定法の典型です。

If there were 25 hours in a day, I would play more.
もし1日が25時間だったら、もっと遊んでいるだろう。
If the height of Mt. Fuji were 8,000 meters, it would be one of the highest mountains in the world.
もし富士山の標高が8,000mだったら、世界で最も高い山の一つに数えられるだろう。

常識的に考えれば、1日は24時間ですし、富士山は3,776 mですよね。「そんなことあるわけがない!」という事象やできごとを仮定してしまうのが、英語の仮定法の基本です。

英語の仮定法時制ルールは「過去に1つずらす」のが基本

英語で仮定法の文を作る際には、実際の時間から過去に1つずらす、というのが基本です。現在の「ありえないこと」を仮定する場合には過去形を、過去の「ありえないこと」を仮定する場合には過去完了形を用いる、という仕組みです。

仮定法過去

英語の仮定法過去は、「いま○○だったら」のように、いま現在にフォーカスを当てて何かを仮定するときに用いられます。「過去」というワードが入っていますが、いま現在の何かについて仮定することに注意してください。

仮定法過去は、if節と主節の時制を過去形にするだけでOKです。

If he had 10 million yen, he would quit his job.
もし彼が1,000万円もっていたら、彼は仕事を辞めるだろう。
If I were you, I would give it a try once again.
もしわたしがあなただったら、もう一度挑戦するだろう。

2番目の例文で、if節の主格がIなのに、wereが来るのはおかしいのでは?と思う人もいるかと思いますが、これは英語の特殊ルールです。仮定法を導くbe動詞の過去形は、「were」になります。

「If I were you」は、英会話でよく使われる重要な言い回しですので、しっかりと覚えておきましょう。「わたしだったらこうするよ。」といったニュアンスを相手に伝えて、相手に指摘したりアドバイスをしたりするときによく使われます。

仮定法過去完了

もう過ぎ去ってしまった出来事を振り返り、「もし、あの時〇〇だったらなあ」と仮定するのが英語の仮定法過去完了です。書き換えることのできない事象を振り返り、もしも~だったらよかったなあ、と考えるニュアンスです。

If I had got up earlier, I could have caught the train.
もしもっと早く起きていたら、電車に間に合ったのになあ。
If it had not been rainy, the train would not have been delayed.
もし雨じゃなかったら、電車が遅れることはなかったのになあ。

上の例文からは、「実際には電車に間に合わなかった」、「実際には雨で電車が遅延してしまった」ことが読み取れます。このように、取り返しのつかない過去のあやまちなどを悔やむときには、仮定法過去完了がぴったりです。

「I wish」を使った仮定法過去・仮定法過去完了

「I wish」は、仮定法ではない英文でも用いられるのですが、wish以降の節の中身を過去時制にすることで、仮定法のニュアンスを持たせることができます。「~だったらなあ。」というニュアンスです。

I wish I had wings.
翼があればなあ。

人間に翼が生えないことは明らかですが、「もしも」の話を想定してこのように言うことはできます。

I wish I had born in a rich family.
お金持ちの家に生まれていればなあ。

この人は人並みか、貧乏な家庭に生まれたことが推測できます。過去を振り返り、「金持ちの家だったらよかったのに…」というニュアンスが伝わります。

「as if」を使った仮定法過去・仮定法過去完了

「まるで~のように」といったニュアンスで、何かを比喩的に形容するときに「as if」がよく使われます。

He runs fast as if he were a bullet train.
彼はまるで新幹線のように速く走る。
He ran fast as if he had been a bullet train.
彼はまるで新幹線のように速く走った。

もちろん、「新幹線のように」であって、彼が新幹線の体を持っているわけではありません。

「If only」を使った仮定法過去

「if only」は、仮定法を含む節を導く言い回しで、「~でさえあればなあ」という意味合いがあります。

 If only she were rich.
彼女がお金持ちでさえあればなあ。

「imagine」を使った仮定法過去

「imagine」は、仮定法過去と非常に相性のいい動詞です。imagineを命令形で使い、「~だと考えてみてください」という文を作ることができます。英語では、なぞなぞやクイズを問いかけるときなどによく使われます。

Imagine you were an astronaut.
あなたが宇宙飛行士であったとします。

「suppose」を使った仮定法過去

「suppose」も「imagine」とほぼ同じ使われ方ですが、こちらのほうが少し硬い印象です。

 Suppose that you had one trillion yen,
あなたが1兆円もっていたとして、

仮定法未来

未来の「ありえないこと」を仮定する際には、仮定法未来を使います。「ありえないけど、これからもし○○になったら…」といったニュアンスです。

仮定法未来で「should」を使うケース

if節に助動詞の「should」を加えると、仮定法未来を導くif節になります。

 If Tom should come here, everyone would be surprised.
トムがもしここ来るようなことがあれば、皆おどろくことだろう。

shouldにくっつく主節の時制は、過去でも現在でもどちらでもOKですが、wouldなどの過去形にすると仮定法チックになります。

仮定法未来で「were to」を使うケース

「were to」は仮定法の文で助動詞のような役割を持つパーツです。「should」よりも実現可能性が低い、ありえないことを仮定するときに使います。shouldの場合、「実際にそれが発生してもおかしくない」レベルの実現可能性なのですが、were toの場合、「まず起こりえないこと」になります。

 If the sun were to explode tomorrow, everyone on the earth would not survive.
もし明日太陽が爆発したら、地球上の人間はみな死ぬだろう

were toの従属節にくっつく主節の時制は、必ず過去形になります。

動詞の原形を使うイレギュラーな「仮定法現在」

比較的マイナーな用法ですが、英語の仮定法には「仮定法現在」という用法があります。これは、現在や未来への不確定な要素、発生しているのかしていないのかわからない事象を想像するときに使います。

ふつうの仮定法のように「ありえないこと」という意味はないので、注意してください。

 He insisted that she accept the offer.
彼は、彼女はその要求を呑むべきだと主張した。

英語に精通している人なら、主節とthat節の時制が一致していないことや、「accept」に3単元のsがついていないことに違和感を覚えるかもしれません。しかし、この英文は正しい英文です。

このacceptは仮定法現在の形で用いられています。彼が主張したことは間違いなく事実ですが、彼女が要求をのんだのか、そうではないかは不確定ですよね。このように、実際にはどちらに転んだかわからない、不確定なことを仮定するときに、仮定法現在を用います。

また、that節にshouldを入れる場合もあります。このshouldに特に意味はなく、訳す必要はありません。「この文では仮定法現在を用いています」という目印のようなものです。

 He insisted that she should accept the offer.
彼は、彼女はその要求を呑むべきだと主張した。

かなり難しい用法なので、わからなければ今は飛ばしてもいいかもしれません。

仮定法は倒置の構造にすることで、よりフォーマルなニュアンスになる

強調などの目的から主語、述語の位置がひっくり返る現象を「倒置」といいますが、英語では仮定法の文章でも倒置が頻繁に起こります。倒置させたほうが単語数を減らせてスマートな英文になるので、倒置を起こせる場合には積極的に行いましょう。

倒置させる場合はifを省いて、if節のSVの順番をVSにするだけでOKです。倒置がよく起きるのは、「were」「had」「should」の3つです。

If it were not for information technologies, smartphone would not exist.
情報技術がなかったら、スマホは存在していないだろう。
Were it not for information technologies, smartphone would not exist.
情報技術がなかったら、スマホは存在していないだろう。
If I had failed to pass the exam, I would deeply depressed.
もし試験に落ちていたら、ひどく落ち込んでいただろう。
Had I failed to pass the exam, I would deeply depressed.
もし試験に落ちていたら、ひどく落ち込んでいただろう。
If you should have any question, please send me an email.
もし質問があれば、メールしてください。
Should you have any question, please send me an email.
もし質問があれば、メールしてください。

いずれの例文でも、単語数が1語減って引き締まった文になっていることがわかります。ifが抜けていますが、中身が仮定法の形になっているので、「~であれば」というニュアンスはifがなくてもきちんと伝わります。

また、最後の例文は仮定法未来ですが、丁寧表現として仮定法未来を用いています。「質問があるなんてありえないけど...」といったニュアンスではないことに注意していください。

英語の仮定法まとめ

英語の仮定法は、英文法の中でもトップクラスに難しい部類に入ります。しかし、仮定法の基本である、「ありえないことを想定する」という考え方をきっちりと理解して、パターン別の用法を覚えれば誰でも習得できるテクニックです。

仮定法を英作文や英会話に積極的に取り込むことができるようになれば、英語の表現の幅を広げたり微妙なニュアンスの違いも表せたりできるようになります。ぜひ、マスターを目指して頑張ってみてください。

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