英語の倒置法は、日本人英語学習者がおそらく一番敬遠する英語のルールです。パターンが非常に多岐にわたるため、理屈で説明されてもなかなか理解できずに挫折した人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、英語の最難関といっても過言ではない倒置法をピックアップして、その考え方や応用方法についてまとめました。倒置で挫折して匙を投げた英語学習者には必見の内容です。ぜひ最後までご覧ください。

英語の倒置法は「感嘆」「強調」を表現する際に使われることが多い

SVなどの5文型に代表されるように、英語の文では単語の並べ方がものすごく重視されています。これは、英語には日本語のように、「てにをは」などの助詞が存在せず、品詞が置かれた位置でその品詞の役割が規定されるためです。

そのため、英語の文では単語の順番を勝手に変えることは許されず、少しでも位置を変えてしまうと全く意味の伝わらない英文になります。

しかし、英語には「倒置」という現象があります。この現象が起きると、文意は変わらずにSVの位置だけがひっくり返ります。以下でその例を見ていきましょう。

倒置法の基本は「動詞(助動詞)→主語」の語順

英語の倒置の基本は、SVの位置をひっくり返すことです。大抵の場合、強調したい「何か」が先頭に来る弾みでSVの位置がひっくり返ります。どのようなルールに従いそうなるのかは、ケースバイケースです。

 Hardly can I move.
ほとんど動けない。 I can hardly move.
ほとんど動けない。

前者では、「ほとんど~ない」という意味を持つ副詞であるhardlyを先頭に引っ張った強調構文であり、後者は通常の文型の並びに従ったふつうの文です。

どちらも文意は同じですが、hardlyを前に持ってきたほうは助動詞のcanがhardlyに引っ張られて倒置が発生しています。このように、強調したいワードに動詞や助動詞がくっついてしまい本来の文型の並びから逸脱する現象が、英語の倒置です。

助動詞を伴わない文で倒置が発生する場合は、助動詞の代わりにdoやdoesが引っ張られてきます。

 Never do I eat vegetables.
決してわたしは野菜を食べない。 Never does he play tennis.
決して彼はテニスをしない。

押さえておきたいさまざまな倒置法の使い方

英語の倒置のパターンはかなり多岐にわたりますが、そのほとんどは、「大事なものを前半に持ってきた弾みで文の並びが変わる」ということです。それぞれのケースを例文とともに確認してみましょう。

感嘆文

ポイントを前に持ってくることで、感嘆文をよりオーバーな表現にできます。

 What a beautiful view it is!
なんて素晴らしい景色なんだろう! How wonderful it is!
なんて素晴らしいのだろう!

「It is a beautiful view.」や「It is wonderful.」にしてしまうと、肝心のa beautiful viewやwonderfulが最後に来ることになりますし、なんだか淡々としていて味気ない表現に見えます。素晴らしいことを強調するために大事な箇所を前に引っ張っているわけです。

直接話法

直接話法の倒置は、英語で書かれた小説などに頻出する表現です。吹き出しの中身を後ではなく、強調するために前に持ってくるテクニックです。

 Tom said “You need to be kind”
トムは「親切であるべきだ」と言った。 “You need to be kind” said Tom.
「親切であるべきだ」とトムは言った。

通常の形は前者ですが、英語において実際に多用されるパターンは後者です。吹き出しの中身が強調されて、後続のSVがVSになっています。

同意

以下の例文では、副詞のsoやneitherが文頭に引っ張られてきて、それに付随して倒置が発生しています。「私も!」という意思を強調するために、英語では副詞が文頭にくるわけです。

 I love apple.
りんごが大好きです。 ーSo do I.
私もです。
 I am not Japanese.
日本人ではありません。 ーNeither am I.
私もです。

「neither」は、否定の意で誰かに同意するときに使われる副詞です。「me too.」のtooのネガティブ版だと覚えてください。

実は倒置法!「There is」構文

中学英語でも習う「There is ~.(~があります。)」は、実は倒置された文であることをご存じでしょうか。

 There is a pen.
ペンがあります。

上の文を倒置が起きる前の文に戻すと、以下のようになります。上の文がCVSであり、下の文がSVCです。

 A pen is there.
ペンがあります。

「ペンがある」なので、本来は主語がペンになるはずですが、There is ~の文がデファクトスタンダードになっています。ただ、この文は確かに倒置なのですが、thereを特別強調したくて倒置が起きているわけではありません。

また、A pen is there.が本来の形ですが、この形で表現されることはほぼありません。

「強調」の意味合いで使われる倒置法

英語の倒置の基本は、強調したいワードを一番前に引っ張ってくることです。何を先頭に持ってくるかで後続の語順が変わったり変わらなかったりするので、パターン別に確認してみましょう。

目的語を強調したいときの倒置法の使い方

目的語(O)を先頭に持ってくるだけで、後の語順はそのままでOKです。

 I like Japanese sake.
日本酒が好きです。 Japanese sake I like.
日本酒だよ、好きなのは。
 I love science.
科学が好きです。 Science I love.
科学だよ、好きなのは。

強調したいワードが前に来ると弾みでSVの位置がひっくり返るのが英語のスタンダードなのですが、Oを前に持ってくる場合のみ特例です。強調すべきワード(O)を前に持ってきてもSVがひっくり返らない珍しいパターンです。

補語を強調したいときの倒置法の使い方

補語(C)を強調して先頭に持って来る場合、倒置が発生してその後の語順が変わります。SVCであれば、CVSになります。

 The famous film director’ s latest movie is wonderful.
その映画の最新作は素晴らしい。 Wonderful is the famous film director’s latest movie.
素晴らしいよ、その映画監督の最新作は。

Sに来る名詞句が長いと重要な点が後ろに追いやられてしまいますが、強調のテクニックを使えば一番前まで引っ張ることができます。

ただし、Sが代名詞の場合にはCSVの順番になります。上で説明した、SVOをOSVにするパターンと似たような感じです。

 It is interesting.
それは面白い。 Interesting it is.
面白いよ、それは。

副詞を強調するための倒置法の使い方

副詞を前に持ってくる場合も、後続の語順の変わりかたは補語の時と同じです。主語が代名詞の時には語順変化が生じないというルールも同じです。

 He acted beautifully.
彼は美しく演じた。 Beautifully he acted.
美しく、彼は演じた。

「否定の強調」の倒置法は、続く文が疑問文の形になる

英語では肯定文のみならず、否定文でも倒置の文を作ることができます。否定の意を強調したい場合などに、notやneverなどの否定語を前に持ってくるときに倒置が発生します。

否定語が何にせよ、否定語を先頭に持ってきて後続の文を疑問形と同じ形にする(SVをVSにする)のが基本です。助動詞がない肯定文で倒置が発生する場合と、ほぼ同じ理屈です。

また、形自体は疑問文ですが、文末のイントネーションを上に引っ張ってクエスチョンマークのついた疑問文のように話す必要はありません。

「not」否定の倒置法の使い方

否定語notを前に持ってきて、否定の意を強調するときにも上で述べたルールに従います。

 He did not write a single word.
彼は何も書かなかった。 Not a single word did he write.
何も書かなかった、彼は。

上の例文の場合、「a single word」自体が否定語を伴う目的語になっているので、notにつられて一緒に先頭に引っ張られています。「1ワードもなかった!」というニュアンスです。

 They did not know about the truth till he came back.
彼が戻るまで、彼らは真実を知らなかった。 Not till he came back did they know about the truth.
彼が戻ってくるまで知らなかった、彼らは真実を。

上の例文では、否定のnotが副詞句ごと前に引っ張られてきており、またdid以下で倒置が発生しています。

「never」「hardly」などさまざまな否定の倒置法も同じ

否定語の「never」を先頭に持ってきて、否定の意を強めることもできます。neverは、notと役割はほぼ同じですが、notよりも若干否定の力が強めです。

やり方はnotのときと同様です。

 I will never play gambling.
もう賭博はしない。 Never will I play gambling.
もうしない、賭博は。

先頭にneverが来ているので、しない、という意図が強調されています。

ほとんど~ない、という否定の意味を持つ副詞「hardly」も似たような使い方ができます。

 I can hardly see.
ほとんど見えない。 Hardly can I see.
ほとんど見えない。

倒置法を使えばIf節を使わない仮定法も表現できる

ありえないことを仮定する「仮定法」でも、倒置は頻繁に発生します。仮定法未来の「should」、仮定法過去完了の「had」、仮定法過去の「were」で特に倒置が起きます。

英語の仮定法の文を倒置させるときには、if節のifを落としてSVをVSにするだけでOKです。

 If you should come to Japan, it would be wonderful.
もしあなたが日本に来るのであれば、とても素晴らしいことだ。 Should you come to Japan, it would be wonderful.
もしあなたが日本に来るのであれば、とても素晴らしいことだ。
 If I had studied more, I could have gotten full marks.
もっと勉強していたら、満点を取れただろう。 Had I studied more, I could have gotten full marks.
もっと勉強していたら、満点を取れただろう。
 If I were you, I would pay more.
もし私があなただったら、もっとお金を払うだろう。 Were I you, I would pay more.
もし私があなただったら、もっとお金を払うだろう。

仮定法の倒置は、強調目的ではなく、ワード数を減らしてシンプルにする目的で使われます。いずれの例文でも、ifが抜けて元の文から1語減っています。

英語の倒置法まとめ

英語の倒置法は、確かに難しくマスターするには相当の時間とトレーニングを要しますが、本質はとてもシンプルなものです。キーとなるのは、「強調したいものを前にもってくる」であり、そこを抑えれば理解が一層しやすくなります。

倒置は英語のネイティブスピーカーが当たり前のように多用するテクニックですので、ぜひ理解して、英語ネイティブの思考回路に一歩でも近づけるようにしましょう。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

ピックアップ