アメリカ英語は、基本的な英語がまだ身についていない人、イギリス英語圏に長期滞在する予定のない人、カジュアルに話したい人、対してイギリス英語は、基本を身につけたうえでより模範的・フォーマルな英語を身につけたい人、イギリス英語圏に長期滞在する予定のある人に向いています。

この記事では、アメリカ英語やイギリス英語とはそもそも何か、何が違うのか、どのような特徴があるのかといった点にフォーカスして、解説していきます。

イギリス英語とアメリカ英語はどう違う?

そもそも「イギリス英語」と「アメリカ英語」の2つか存在すること自体知らない、という人も多いのではないでしょうか。

イギリスはいうまでもなく、英語発祥の国です。そのためイギリスで使われている英語はオリジナル、本物の英語であり、非常に格式の高いものになっています。略称や俗称が好まれず、ルール(文法)に厳密に従うことが良しとされています。

対してアメリカ英語はイギリス英語の亜種のような存在で、アメリカ独立後に誕生したものです。アメリカ独立後の数百年の時を経て完成したものがアメリカ英語であり、イギリス英語とは異なる毛色を有しています。アメリカの文化を反映したものであり、シンプルでわかりやすいことが特徴です。

イギリス英語とアメリカ英語の関係は、京都弁と大阪弁の関係に似ています。99%同じなのですが、両者で微妙な違いがあり、その1%の違いで、相手に与える印象やニュアンスが変わってきます。

また、イギリス英語もアメリカ英語もほとんど同じものなので、イギリス英語だけを学んだからアメリカでは通じないとか、アメリカ英語を学んだからイギリスでは会話できない、といった事態は生じません。これは、京都人と大阪人の間でも、容易に会話を成立させることができる理由と同じです。

使われている国の違い

アメリカ英語イギリス英語

まず、国ごとにアメリカ英語が優位か、イギリス英語が優位かは変わってきます。

どの国でどちらの言語が優位かというのも歴史的背景の影響を強く受けています。オーストラリアニュージーランドといった、イギリスの旧植民地のほとんどがイギリス英語を使う国で、アメリカ英語をメインとする国はアメリカやカナダなど、ごく少数です。オーストラリアで使われる英語はイギリス寄りですが、独自の進化を遂げてオーストラリア英語として確立しています。

ちなみに、日本で英語は母語でも公用語でもありませんが、広告やメディア、邦楽の歌詞などで使われている英語は、典型的なアメリカ英語です。日本の義務教育で教わる英語も、ほとんどがアメリカ英語になっています。

少数派であるはずのアメリカ英語が日本の英語学習のスタンダードとなっている理由にも、歴史的背景が絡んでいます。開国後に日本に流入してきた英語がアメリカ英語であったため、その流れを汲んで、今でも日本では、英語といえばアメリカ英語、といった感じになっています。

発音の違い

イギリス英語とアメリカ英語では、同じスペルの同じ単語でも、読み方が変わってきます。例えば、アメリカ英語であれば「can(キャン)」ですが、イギリス英語であれば「can(カン)」となり、aの発音もアメリカ英語のそれとは異なります。

呼称の違い

一部の名詞や動詞などでは、アメリカ英語、イギリス英語で使われやすいものが異なります。以下の表に代表的なものをまとめました。このほかにもありますが、両者で異なるワードはそこまで多くありません。

意味 アメリカ英語 イギリス英語
エレベーター elevator lift
下着 underwear pants
ウインカー blinker indicator
茄子 eggplant aubergine
消しゴム eraser rubber

東京の人に、ものさしのことを線引きといっても何とか伝わるように、イギリス英語のワードをアメリカ人に行ってもたいていの場合は伝わります。「相手がイギリス人だからアメリカ英語の言葉は絶対に使ってはいけない!」というわけではないので、そこまで神経質になる必要はありません。

スペルの違い

単語の意味は同じでも、スペルが微妙に違うパターンもあります。以下がその代表的なものです。

意味 アメリカ英語 イギリス英語
アルミニウム aluminum aluminium
パジャマ pajamas pyjamas
エイジング aging ageing
センター center centre

centercentreのように、表記が変わっても発音が変わらないもの、alminumaluminiumのように表記も発音も変化するものがあります。こちらも「呼称の違い」と同様に、数はそこまで多くないのですべてを覚えることは比較的容易です。

表現の違い

アメリカ英語では、語数が少なく、シンプルでわかりやすい構文が好まれる一方で、イギリス英語では俗称や略称を使わず、きっちりとした表現で英文を構築することが好まれます。

これにも歴史的背景が絡んでいます。多数の人種が混ざり合う多民族国家であるアメリカは、異なる歴史的、文化的バックグラウンドを持つ人間と、正確なコミュニケーションをとる必要がありました。ですが、イギリス英語のように冗長な表現や婉曲的な表現が多いと異文化コミュニケーションに障害が生じるため、多少フランクでブロークンでも、わかりやすさを重視したシンプルな英語が好んで使われるようになったのです。

たとえばイギリス英語では、普通の過去形でも表現可能なコンテクストでも「完了形」が好んで使われます。

I have forgotten to submit my homework.【現在完了形】
宿題を提出するのを忘れた。
I forgot to submit my homework.【過去形】
宿題を提出するのを忘れた。

上記の2つの例文はほぼ同じ意味です。事実アメリカ英語では、「宿題を忘れた」と言いたいときに、どちらを使ってもOKなことになっています。

ですが、イギリス英語ではこの場合、完了形を用いた文章である場合が多いです。

よく見るとわかると思いますが、完了形を用いたほうの文章の省略形が過去形の文章になっており、本来の状況(宿題を忘れて、忘れた状況が今現在まで続いているという状態)を正確に再現しているのは完了形の文のみです。すこしひねくれた解釈になりますが、過去形の文章だと「過去に忘れたけど、もう提出してある」という意味にもとらえることができます。

つまり、前者は事実を正確に表現しているものの1文が長い(イギリス英語)、後者は省略形を用いてシンプルになっているものの正確性に若干欠ける(アメリカ英語)ということです。

もう1つ、時間表現にもイギリス英語とアメリカ英語で顕著な差が生じます。

アメリカ英語では、10時30分のことを「ten thirty」、12時15分のことを「twelve fifteen」と時、分の順番でそのまま読み上げます。例外もないため、非常にわかりやすく学びやすいです。

ですが、イギリス英語ではこの読み方はあまり好まれず、その代わり、「past」と「to」を用いた表現が多用されます。

  • 11時5分→five past eleven 11時から5分過ぎた
  • 11時15分→quarter past eleven 11時から1/4過ぎた
  • 11時30分→half past eleven 11時から半分過ぎた
  • 11時45分→quarter to twelve 12時まであと¼

明らかにアメリカ英語の表現方法より面倒ですが、こちらがイギリスで多用される表現です。パターンが比較的多く、マスターすることに時間を要しますが、慣れればすっと出てくるようになります。

他にも、ASAP(as soon as possible)などもアメリカ特有の表現です。イギリス英語はとにかく端折ったり省略したりすることが嫌いなので、このような表現は好まれません。

イギリス英語とアメリカ英語、どっちを勉強すべきか?

アメリカ英語イギリス英語

では、イギリス英語とアメリカ英語、どっちを勉強すべきなのでしょうか。

まずはアメリカ英語で学ぶ

日本の出版社が出している学習参考書のほとんどは、アメリカ英語をベースとしたものです。また、日本の英会話スクールのほとんどはアメリカ英語を踏襲しています。シェーン英会話など、イギリス英語をメインとして教えているスクールもありますが、少数派であることは事実です。

また、英検やTOEICなどのリスニング問題もアメリカ英語が圧倒的に多く、日本の英会話産業ではアメリカ英語がデファクトスタンダードになっています。

そのため、「イギリス英語かアメリカ英語か」という議論以前に、日本国内で英語を学ぶとなるとアメリカ英語しかないのが実情です。日本で英語を学ぼうとすると、必然的にアメリカ英語から学ぶことになります。

初心者~中級者のころはアメリカ英語、イギリス英語を気にせずに学習することがおすすめです。日本で出版されている教材(=アメリカ英語)からスタートさせ、より格式高いフォーマルな英語を学びたいとなれば、イギリス英語にシフトしましょう。

イギリス英語圏に留学や移住を考えている人は、イギリス英語の勉強を

アメリカ英語は、格式高い英国紳士であるイギリス人には、少し鼻にかかる印象を持たれるといわれています。そのため、イギリスやイギリス英語圏への長期滞在を検討しているのであれば、レベルが少し高いイギリス英語を学習する価値があるといえます。

模範的な英語を目指す人も、イギリス英語の勉強を

ビジネスで英語を使うなど、実用面重視で英語を学習するのであれば、イギリス英語をわざわざ学ぶ必要はありません。ですが、趣味として格式高いブリティッシュイングリッシュをマスターしたい、上品な発音やアクセントをマスターして一目置かれたいという目標があるのであれば、イギリス英語の学習をおすすめします。

今回解説したように、イギリス英語は特性上冗長な表現になりがちなので、実用面ではアメリカ英語のほうが優れています。両方を使いこなせるようになれば、文句なしといえるでしょう。

イギリス英語とアメリカ英語まとめ

以上のように、アメリカ英語は、基本的な英語がまだ身についていない人、イギリス英語圏に長期滞在する予定のない人、カジュアルに話したい人、対してイギリス英語は、基本を身につけたうえでより模範的・フォーマルな英語を身につけたい人、イギリス英語圏に長期滞在する予定のある人に向いています。どちらが優れている、劣っているなどの優劣はないので、自身の目的に沿って選んでみてください。

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