前編では、受験英語ではない「武器」としての英語に向き合ったご経験をお話いただきました。後編では、英字新聞「ジャパンタイムズ」編集長ならではの、英語学習法について語っていただきます。

JapanTimes高橋編集長

高橋 敏之

The Japan Times Alpha」第11代編集長。慶應義塾大学文学部史学科卒。大学入試予備校の英語講師を3年間務めた後、「英語を本当に自分の武器にするため」オーストラリアへ語学留学。その後、日本英語教育協会(現 日本英語検定協会)での英語教材制作を担当した後、2007年にジャパンタイムズ社へ。

高橋さん流の英語勉強法

英語の勉強は、やめたら力が落ちていくだけなので毎日続けることが大事です。ある程度英語力がついてきましたので、好きなこと、私の場合は引き続きアメリカンプロレスを見て英語力を磨いています。

あとはお笑い系のシチュエーションコメディ(シットコム)ですね。「Friends」、「The Simpsons」、「Two and a Half Men」なんかを観ています。シットコムは日常が舞台なので、プリズンブレイクとかに比べたらやさしいですよ。特に「Friends」は初級者でも楽しめると思います。シットコムって番組の中に笑い声が入っていますけど、「え? 今なんで笑ったの?」って分からないときは悔しくなるので、聴き取ろうって思いが強くなるんです。

ところで、好きなことで学ぶと言っても英語初心者の人に「好きな映画を字幕なしで見て英語を覚えればいいんだよ」とはお勧めしません。それは上級編です。初級者には映画で学ぶのは負担が大きすぎます。野球でもなんでも、最初は単調な素振りとか、基礎練習をコツコツやる時期が大事ですよね。英語の学習も楽しいことばかりではないです。基礎力をつけて中級レベルになったら、好きなことをして学んでいくのがいいでしょうね。

とにかく、まず文法は大事ということを言いたいです。

「文法は一通り学びました」と言う方でも、じつは学校で習って理解しただけという段階にいる方が多い気がします。この段階で「文法はやったのに話せない、やっぱり文法は意味が無い」と判断するのではなく、自分の中で、実際に話すことを想定して文法を頭に入れていくとスピーキング力につながっていくんだと思います。

単語を単体で覚えてしまうと、会話も単語を並べるだけに。

japan times takahashi2

ボキャブラリーももちろん大事ですね。リスニングをやるにしても、ボキャブラリーとして自分の中に無い単語を聴いても意味が分かるわけがないですから。

ボキャブラリーを増やす際にも、アウトプットすることを想定してインプットしていかないと、実際の場面で使えなくて困ります。具体的なアウトプット場面どういう時に自分はこの単語を使うのかを意識してインプットしておかないと、ただ単語をポンポン発するだけの会話になってしまいます。

例文も無いようなスマホの簡易的な辞書や、単語だけ書かれた単語帳を使って学習する方がいますが、単語は必ず例文の中で覚えるべきです。「The Japan Times Alpha」などの記事を読んで、この単語はこういう文脈で使うんだということを学ぶ「実地訓練」を増やしてほしいですね。

具体的に、基礎力を身につけるのにおすすめの教材はありますか?

レイモンド・マーフィーさんの「English Grammar in Use(注:1985年の初版発行以来世界中でベストセラーとなっている英文法書)はすばらしいですね。この本に載っているのはコミュニケーションを取るための英文法ですから、一昔前の難関大の入試で出ていたような例外的な文法なんて無いんですよ。

アウトプットの機会を持つには?

日本にいるとアウトプットの機会がなかなか持てないですが、一人でも、できるだけアウトプットの機会を増やす工夫をするといいですよ。

私がよくお勧めしているのは、「The Japan Times Alpha」のトップニュース記事を読んだら、必ず3文程度の英語で要約するという練習。自分の言葉で要約するのが難しければ、こことここが重要なところだと、記事中から見つけてその文章をなぞるだけでもいいんです。

たとえば(注 記事見本を見ながら)、この記事中にある「qualify for~(出場権を得る)」という熟語ですが、読んで理解するのと、さらに要約文の中でもう1回使ってみるのとでは雲泥の差があるんですよ。ニュース記事の要約はインプットとアウトプットが同時にできる学習ですね。

脳内彼氏(彼女)との英会話をどんどん発展させる。

JapanTimes高橋編集長

あとは、妄想で彼氏、彼女をつくっていただいて会話するというのもいいですよ(笑)私は昔、Jennifer という脳内彼女をつくって会話していましたね・・・今は、Mrs. O’Neill(ミセス・オニール)が登場する物語を想定して、その中で英語で話しています。Mrs.というところが大人な感じですよね(笑)

舞台はアメリカの島。オニールさんは旦那さんと別居中。今私は、オニールさんの子どもたちに「うちの隣りになんか面白い日本人のおじさんが越してきたぞ」と受け入れられたところです。あ、奥さんには悪いんですが、もちろん私は独身の想定です(笑)そこで子どもたちと仲良くなり、オニールさんとはお互い好意を抱いていることは分かっているけれど、旦那さんの存在も気になるし……と脳内でまだストーリーが続いているところです。

これ、場合によっては紹介するのを止められるところもありますけど大丈夫ですか?

編集部
大丈夫です(笑)

妄想イメージ英語?「ねえ、ちょっと通訳してくれる?」って言われたら。

こういう妄想(笑)がすぐには難しい人なら、「ちょっと通訳してくれる?」って頼まれた場面を想定して話すのもいいですよ。

例えば海外の空港で「ねえ、君は英語が少し話せるらしいね。カバンを無くして困ってる日本人がいるんだけど、こっちに来て通訳してくれない?」と頼まれたとする。そこで、その人のところに駆けつける。「カバンに何が入ってたんですか? どこに置いてたんですか?」とか聞いてそれを通訳してあげるところを想像して英語で話すんですよ。

Yahoo知恵袋の英語版は話題の宝庫。「16歳で61歳の彼氏ができました」

Yahoo Answers

あと一つ妄想で話すワザがあります。Yahoo知恵袋の英語版(Yahoo! Answers)を見て、自分だったらどうアドバイスするかを考えるんです。身近な話題を扱う<Family& Relationships>のようなカテゴリーを見てください。すると「私は16歳なんですが61歳の彼氏ができました。どう思いますか?」のような、一言アドバイスせずにはいられないような質問の宝庫ですから、そこで英語でアドバイスを言ってみると勉強になりますよ。

これでもまだ妄想ができない(笑)という方は、今日1日にあった出来事を英語で話してみてください。

オンライン英会話を活用するとしたら?

これはもう「ぶつかり稽古」ですよ。

日頃我々が学習している英語は、最終的には対人コミュニケーションのためのものです。その実戦に至るまでに、相撲で言うと四股(しこ)を踏んで基礎を固め、練習相手とのぶつかり稽古を経て、本番の取り組みに臨めるようになるんですよ。この対人での「ぶつかり稽古」ができるのがオンライン英会話ですね。

以前なら、 外国人の友だちを作って練習させてもらったりと「ぶつかり稽古」の相手探しが大変でしたが、今はその点便利になりましたね。

英語力を身に付けることでどう変わると思いますか?

英語というのは「自分の武器です」と言いやすく、習得しやすいものの一つだと思います。語学っていうのはセンスはほとんど必要ないんです。母国語が話せている以上、コミュニケーションが取れるレベルになる素養は全員が持っているはずです。

グローバル化を目指そうだとか、あちこちで多用されている「グローバル」という言葉ですが、つまりは「どの国の人とも仲良くなれる」ということだと思います。それには英語など共通の言語で話し、同じジョークで笑うというような人間どうしの交流があってこそですよね。

JapanTimes高橋編集長

「これからはAIが自動翻訳してくれるんでしょ」ってよく言われますが、もしAIにジョークの翻訳までできるようになったとしても、ちょっと遅れて機械の翻訳で笑う人より、リアルタイムで一緒に笑い合える人たちの方が仲良くなれるでしょう。英語力があれば世界はより広がっていくでしょうし、人生が豊かになることは間違いないと思います。

新発刊された「The Japan Times」の「 Alpha(アルファ)」には、「最も明るく輝く星」という意味もあります。私たちは英語力を身につけた読者の方の人生が、明るく照らされていくことを願っています。

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