
自社製品やサービスを海外市場に展開するために、国外の顧客をターゲットとしたエキスポ・イベント・展示会(exhibition)への出展を計画している事業主も少なくはないと思います。ですが、完全アウェー状態である海外の展示会で、しかも英語で自社の強みを紹介するというのは一筋縄ではいきません。この言葉の壁を超えるには英語力にプラスアルファの力が必要となるため、非常にハードルの高いものとなります。
そこでこの記事では、海外展示会を成功に導く英語の万能フレーズや、ちょっとしたコツなどをまとめています。海外展示会でのブース出展を控えている人には必見の内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
【出展者】展示会で自社ブースに人を集めるためのフレーズ
海外の展示会では、まずは自社ブースまで人を誘導しないと何も始まりません。歩いている人に足を止めてもらう英語のフレーズは、確実に覚えるようにしておきましょう。慣れない英語圏での展示会ですので、小難しい言葉やフレーズを使う必要はありません。「Hello?」や「Excuse me?」など、きわめて基礎的なフレーズだけでほとんどの人は足を止めてくれます。
足を止めてもらったら、自社ブースまで誘導するために説得していきましょう。
XXXには興味ありますか?
製品展示会など、いわずもがなでその製品の関係者しかいない場合には、上のようなフレーズはあまり意味を成しません。そのようなときには自社製品の強みを(多少オーバーになってでも)アピールしていきましょう。
業界屈指の最先端製品を取り揃えています。
また、展示会で人を集める際には「stop by(立ち寄る)」というフレーズが大活躍します。stop byは、コンビニやコーヒーショップなどにふらっと立ち寄る、という意味がある動詞句であり、祭りの屋台の「寄ってらっしゃい」に似たようなニュアンスがあります。
弊社の製品を見ていきませんか?
3分や5分など、どれくらいの時間を要するのかも明確にするといいでしょう。
弊社のサービスを1分で説明させてください。
【出展者】自社製品やサービスを紹介するときの英語フレーズ
いよいよ自社製品やサービスに興味を持ってもらったら、セールストークに持っていく必要があります。海外展示会において英語のセールストークへの持っていき方は日本語のそれとほぼ同じで、自己紹介→製品・サービス紹介→パンフレット提供・名刺交換、といった流れが一般的です。
展示会での自己紹介は回りくどい前置きなどを挟まずに「My name is…」や「I am…」で十分です。名乗った直後に社名や役職名を付け加えるといいでしょう。
私はタナカ ジロウです。XXX社のセールスマネージャーです。
社名だけを述べても何を売っている会社かわかりませんので、取り扱っている製品やサービスの種類について、簡潔に加えましょう。このときに使える単語が「make」「produce」「provide」「develop」などです。
「make」や「produce」は、かたちあるモノを販売している場合に使えるワードです。
幅広いラインナップの文房具を販売しています。
We produce high purity metal products.
高純度の金属製品を販売しています。
「provide」は、何にでも使える万能ワードです。言葉選びに困ったら、とりあえずprovideを用いるといいでしょう。
弊社の製品は、高速で快適なユーザーエクスペリエンスを提供します。
ソフトウェアなどのIT製品には、makeやproduceはあまりマッチしません。その代わりに「develop(開発する)」というワードが適切です。
弊社は、業界最高水準のウイルス対策ソフトウェアを開発しています。
顧客のニーズにマッチするかどうか、どのようなユーザーをターゲットとしているかも加えて述べるといいでしょう。今話している相手が自社のターゲットになりうるのか、全然関係ない業界の人間なのかという情報をクリアにしておきましょう。
弊社は国内外のITスタートアップ企業をサポートしています。
また、シンプルに「B to B」や「B to C」というワードで説明してもいいでしょう。
弊社はB to B企業です。
We are B to C company.
弊社はB to C企業です。
最後に名刺や連絡先を渡すことになると思います。
差し障りなければ、いつでもご連絡ください。
上記のように一言添えて名刺を渡しましょう。日本語でもそうですが、「こちらは名刺になります」などとわざわざ言わなくとも、名刺であることは見ればわかります。「こちらにご連絡ください」と一言添えながらすっと名刺を差し出すほうが、スマートな印象を与えることができます。
試供品など、サンプルを渡すタイミングもここがいいでしょう。この際に「give away(無料で提供する)」という熟語が便利です。
弊社の素晴らしい製品の試供品を(無料で)配布しております。
重要なポイントだけを手短に伝える
展示会を回っている人は、広く浅くブースを見て回りたい場合がほとんどです。そのため、よほどの興味がない限り、1社のブースに長くとどまるようなことはありません。そこで、展示会ではアピールポイントだけを簡潔に伝えるテクニックが重要となります。数字などで、製品やサービスの強みを具体的に示すと、伝わりやすくなります。
この製品の特長は、1分あたり100ユニットという比類なき生産能力です。
その場で成約に結び付けることが理想ですが、ポイントや訴求項目だけを伝えて、後は自社で検討してください、といった言い回しも有効です。
こちら、弊社の製品カタログになります。興味がありましたら、以降こちらのメールアドレスにご連絡ください。
1分、3分、5分といったように、パターン分けしてプレゼンを複数用意し、相手に合わせて使い分ける、というテクニックも有効です。
自分なりのテンプレートを身につけておこう
自分なりのテンプレートをひとつ持っておくと、海外でも安心して展示会に臨むことができます。今回紹介したフレーズなどをもとに、自身オリジナルのプレゼン原稿を用意して、十分なトレーニングをしたうえで展示会に臨むようにしましょう。
また、海外の展示会では、自社の製品名やサービス名の英語名称や、その道の専門用語もきちんと覚えておくことが大切です。特に専門用語は、業界人同士でスムーズにやり取りをするためには必須のものであり、慣れない英語で会話を途切れさせることなく進めるには必要不可欠です。
製品名、サービス名は自社の英語版ホームページなどで確認するといいでしょう。そのようなサイトがない場合、上司や先輩に尋ねるか、自分でそれらしい名前を考えてしまってもおそらく問題ありません。型番を読み上げることもありますので、英数字の文字列や記号の読み方もあらかじめマスターしておきましょう。
【見学者】他社製品・サービスについて聞くときの英語フレーズ
次は、海外の展示会で、自分がバイヤーの立場、見学者の立場の時に使える英語を解説していきます。
1番重要な点は、自社のニーズについて出展側に正しく伝えることです。どれくらいのスペックの製品を求めているか、要求特性は何かなど、定量的な数字を使って説明しましょう。
低エネルギー消費の表面仕上げ機を必要としています。
We need machine which can both cut and polish metal bar.
金属棒の切断と研磨両方ができる機械が必要です。
性能と同時に、納期やコストが重要となることもあります。このような懸念事項もクリアにしておきましょう。
最短何日で納品可能ですか?
When is the earliest delivery date?
最短納期はいつですか?
How much the cost per unit?
1ユニットあたりのコストはいくらですか?
【見学者】商談に進みたいときのフレーズ
展示品に興味があり、商談に進みたいときには、見積もり、注文から納期までのフロー確認、契約方式などをクリアにする必要があります。以下のようなフレーズを用いて、成約まで持っていきましょう。
見積もりでは、「estimate」という単語が便利です。
XXXの見積もりを取りたいのですが。
注文であれば、「order」あるいは、「place an order」を使いましょう。
XXXマシンの注文をお願いしたいのですが。
展示会では、その場で成約せずに、自社に持ち帰って再検討したい場合もあるかと思います。そのような場合には、カタログや価格表などの資料をもらうようにしましょう。
カタログを持っていってもよろしいでしょうか。
URLなどをもらい、電子ファイルとしてもらうのもありです。
こちら私のメールアドレスになります。ここにカタログのURLを送付していただけないでしょうか。
海外展示会の準備、英語以外もぬかりなく
当たり前かもしれませんが、展示会で使える英語フレーズや英語テクニックをマスターしただけで、海外の展示会で成功できる保証はどこにもありません。英語以外の事務的や準備など、基礎的なものもぬかりなく行いましょう。英語版のパンフレットやカタログは用意できているか、英語版の名刺は十分な数用意できているかなどは、現地に行く前にきちんとチェックしておかないと後でバタバタする羽目になります。
また、大型の製品サンプルや装置などは現地に発送する必要が生じますが、便によっては何十日もかかるものもあります。十分な余裕をもって準備するのが無難です。
海外展示会を成功に導く英語フレーズまとめ
海外での展示会で英語のコミュニケーションをとることは並大抵なことではなく、英語力とともに営業力などのビジネススキルなども求められます。レベルは高く、一朝一夕でできることではありませんが、今回まとめたポイントやフレーズを意識して使っていけば、必ずいい結果へとつながるはずです。たとえ1回でうまくいかずとも、次回、さらにその次と挑戦していき、海外での展示会で成果を出せるように頑張ってみてください。