VERSANT(バーサント/ヴァーサント)というテストをご存知でしょうか? 日本のVERSANTは、日本経済新聞社とピアソン(Pearson)が共同運営する、英語のスピーキング力を測定するテストです。TOEICのような、英語を「読む」「聞く」能力ではなく、「話す」能力を測定できる数少ないテストのうちの一つです。あまり知名度は高くないので、いざ受験しようと思い立っても、テストの詳細や対策方法がよくわからず、お困りの方も多いのではないでしょうか。

今回は、VERSANTのパート別のテスト内容やスコアの算出方法、テスト対策の勉強法について詳しく解説します。

VERSANT(バーサント)とは?

VERSANTは、実践的な英語のスピーキング力を測るテストです。VERSANTは世界的な出版企業であるピアソンにより開発され、日本では日経が旗振り役となりビジネス領域でも、新しい英会話能力の指標として注目されています。

TOEICスピーキングテスト(SWテスト)のような従来の英語スピーキングテストとは異なり、試験の実施と採点までが短時間で行われるのが特徴です。VERSANTのスピーキングテストは約20分で完了し、即座に自動採点されるため、受験者はすぐにインターネット上で結果を確認できます。

また、テストの採点は人ではなく、高度な自動言語認識システムを利用した機械が行います。スマホのアプリやパソコンを使って、いつでもどこでも受験できるのが特徴です。受験者の属性は多岐に渡り、国内外の大手グローバル企業や有名国私立大で採用されているほか、政府機関でも同様のテストシステムが導入されるなど、信頼性の高いテストです。

テストは6パート63問構成

VERSANTは、パートA〜Fまでの6パート、全63問から構成されています。

パートA
パートAは「音読」で、8問構成です。問題用紙に記載された12の文章のうち8つを、指示されたとおりの順序で声を出して読み上げます。
パートB
パートBは「復唱」で、16問構成です。音声で流れてきた文章を、聞こえた通りに繰り返します。
パートC
パートCは「質問」で、24問構成です。2択などのクイズ形式の問題が用意されており、質問で実際に使用された単語を使って回答します。
パートD
パートDは「文の構築」で、10問構成です。3つに分かれた単語リストを聞き、その中で単語を並び替えて正しい文章を作りあげます。
パートE
パートEは「話の要約」で、3問構成です。短いストーリーを聞いて、それをもとに30秒間で自分の意見を簡潔に回答します。
パートF
パートFは「自由解答」で、2問構成です。簡単な質問に対して自由に回答します。

英語スピーキング能力の指標になる

VERSANTでは、ネイティブの発音・スピードで録音された質問音声を聞いて、声に出して回答します。質問音声は、複数のネイティブスピーカーにより録音されているため、問題によってアクセントやスピーキングスタイルも少々異なります。

「英語を聞いて即座に英語で話す」といった、実際の会話に非常に近い形式のため、VERSANTで高得点を取るためには、聞いた英語を細かい内容まで瞬時に理解し、的確に処理して回答する能力が必要とされます。つまり、リスニングとスピーキングがセクションで区切られているテストでは測れない、インタラクティブな英会話力を測ることができるのです。

受験終了後は、すぐにスコアレポート(テスト結果)がインターネット上で公開されます。スコアレポートには、受験者の総合的な英語スピーキング能力を示す「総合点」のほか、英語スピーキングスキルごと「文章構文・語彙、流暢さ・発音」のスコアが示されます。スピーキングスキルの弱点がより細かく分析されるため、その後の効率的な英語学習に繋がります。

総合点が算出される過程において、サブスコアの比重は同じではありません。4つのサブスコアはそれぞれ、語彙20%、文章構文30%、発音20%、流暢さ30%となっています。つまり、VERSANTでハイスコアを取るためには、語彙や発音といったスキルよりも、文章構文と流暢さのスキルを高めることが重要であるといえます。

VERSANTではスピーキングが機械で採点される

受験終了後すぐにインターネット上でテスト結果を確認することができる理由は、VERSANTの採点者が人間ではなく、機械(音声認識技術)だからです。

人間ではなく機械が採点することで、さまざまなメリットがあるのです。例えば、採点者による偏りがなく信頼性が高い一貫した採点ができること、受験者数が急増した場合にも簡単に対応できること、受験者がより早くテスト結果を確認することができること、などが挙げられます。

VERSANTで高得点を取るためには、採点者が機械であるという点を強く意識しておく必要があります。機械による採点は、数千人のネイティブスピーカーのサンプルを使って構築されたシステム(ネイティブモデル)を利用しています。受験者の回答や発音がネイティブにどれだけ近いか、あるいはどれだけ違っているのかを把握し、正確に採点できるようになっています。

回答の正誤のみでなく、発音がネイティブモデルで許容できる範囲かどうかも見ているのです。つまるところ、VERSANTが想定している範囲内で回答する力や、VERSANTの音声を間違いなく繰り返すことのできる記憶力が求められるということです。

VERSANTスコアとCEFRの対応表

外国語としての英語の習得度を測る指標「CEFR(セファール)」とVERSANTの対応は、以下のようになっています。

VERSANTスコア CEFRスコア 英語力の目安
C2 79-80 微妙な意味合いを、正確かつ自然に伝達できる。
C1 69-78 流暢で自由な表現を、適切な単語・フレーズ・構文を使いこなして明確に話すことができる。
B2 58-68 大きな負担を感じさせずに、さまざまな事柄の情報や視点を細かく明確に述べることができる。
B1 47-57 身近な事柄において、伝えたいことの要点をかいつまんで述べることができる。
A2 36-46 基本的な情報(仕事や経歴、家族、趣味など)について比較的スムーズに述べることができる。
A1 26-35 個人的なことや、メジャーなテーマについて、簡単な単語・構文を使って述べることができる。
A1以下 20-25 直接且つゆっくり話してもらえれば、含まれる一部の単語を理解できる。基本的な挨拶程度はできる場合もある。

試験にはヘッドフォン・イヤホンを持ち込もう

VERSANT公式サイトでは「ヘッドフォン・イヤホンの使用は推奨しておりません」とありますが、少しでも聞き取りやすくするためには、使った方が良いでしょう。VERSANTの音声は、より実践的なレベルを再現するため、わざと聞きづらくしていることもあります。ヘッドフォン・イヤホンを装着することで、静かな環境を用意できるとともに、パソコンやスマホのスピーカーよりもはっきりとした音声で聞こえるようになるでしょう。

使用するヘッドフォン・イヤホンは、「ノイズキャンセリング機能のついたもの」かつ「マイクの位置が口元で固定できるもの」をおすすめします。なぜなら、独立したマイク付きのイヤフォンの場合、マイクが揺れたり、何かに触れたりして、音質に影響がでてしまう可能性があるためです。

また、ボリュームを変更する際は、手元で調整をしましょう。パソコン上のボタンで操作を行うと、ボリューム調整音が回答の妨げになってしまうためです。音が反響しやすい小さな部屋での受験を避けることも大切です。広い部屋では自分の声が反響しやすく、音声認識システムにしっかりと聞き取ってもらえず減点される場合があります。

なお、テスト開始前には忘れずに公式サイトで動作環境を確認しておきましょう。

Part別に解説!VERSANTテスト対策

versant

https://www.versant.jp/

パートA〜Fまでの6パート、全63問から構成されています。以下、各パートの問題構成や注意点、対策方法などについて詳しく解説します。

Part A:音読

パートAは「音読」で、8問構成です。問題用紙に記載された12の文章のうち8つを、指示されたとおりの順序で声を出して読み上げます。「発音」「流暢さ」のスキルを診断します。
12つの文章が一度に画面に表示されます。音声で”Now read, sentence 2.”(2番目の文章を読んでください)のように上から順番に指示されるので、指示されたタイミング通りに文章を音読します。

パートAの対策は、テスト開始前に該当の文章に目を通すことが重要です。読み上げに使う文章はテスト用紙に記述されているため、テストが始まる前でも見ることができます。ただし、事前に読めなかった場合も、テスト中のスキマ時間を活用できます。1文を読むための時間は10秒程と長めに与えられますので、その間に次の準備を行います。次の文章に目を通して、どこに抑揚をつけるか、どこで区切るかの目星をつけておくとよいでしょう。

Part B:復唱

パートBは「復唱」で、16問構成です。音声で流れてきた文章を、聞こえた通りに繰り返します。「発音」「流暢さ」「文章構文」のスキルを診断します。

何も表示されていない状態で、読み上げられた文章を繰り返します。文章自体の難易度は高くありませんが、一度しか読まれず、後半にいくにつれてだんだんと長く、聞きづらくなっていくため、注意が必要です。

パートBで大切なのは、とにかく集中力を切らさないことです。また注意点としては、繰り返す際に似たような意味の別単語や別イディオムを使わないことがあげられます。完全に「同じことを繰り返す」ことを求められているため、意味が同じでも、使っている単語や語尾が少しでも違うと不正解になってしまいます。

Part C:質問

パートCは「質問」で、24問構成です。2択などのクイズ形式の問題が用意されており、質問で実際に使用された単語を使って回答します。「語彙」のスキルを診断します。

パートB同様、何も表示されていない状態で、質問の文章が読み上げられます。出題される質問の大半は2択型ですが、What型や計算型の問題も出題されます。質問に使われる文法や語彙は中学レベルの簡単な表現ですが、内容が非日常的であったり、少しひねった表現であったりするため、冷静な回答が必要となります。

2択問題では、キーワードとなる「A or B」の部分のA、Bを確実に聞き取りましょう。パートCの多くは2択問題ですので、基本的に「A or B」の言及があると予測してリスニングすることが大切です。また、2択のどちらが正解かわからない場合は、何も答えないのではなく、適当でも良いので一瞬でどちらか決めて答えましょう。

答える時は、シンプルに単語ひとつで回答します。VERSANTは機械によって採点されるため、通常の英会話のようにセンテンスで答えると正解として認められません。What型の問題の答えがわからず時間切れになりそうでも、無言は避け、「I don’t know.」と答えましょう。

Part D:文の構築

パートDは「文の構築」で、10問構成です。3つに分かれた単語リストを聞き、その中で単語を並び替えて正しい文章を作りあげます。「流暢さ」「文章構文」のスキルを診断します。
文法知識よりも、中学レベルの基礎的な文法が感覚的に身についているかどうかが問われています。パートBと同様に、パートDも読み上げられた文章を短期的に記憶しておく必要があります。

状況を想像しながら音声を聞き、聞こえた単語や文法で内容を再現しましょう。スピーキングの際も、同じような意味の別単語で言い換えたりせず、読み上げられた文章通りの単語を使いましょう。

Part E:話の要約

パートEは「話の要約」で、3問構成です。短いストーリーを聞いて、それをもとに30秒間で自分の意見を簡潔に回答します。「発音」「語彙」「流暢さ」「文章構文」のスキルを診断します。4〜6センテンスで構成されるストーリーを聞き、その内容を自分の言葉で要約して答えます。各ストーリーは30秒ほどの長さで、読み上げられた後に30秒以内に回答します。

音声を聞きながらストーリーの起承転結を把握すること、文章の中で使用された単語を記憶して回答することを心がけましょう。これまでのパートと異なり、パートEでは自分の言葉で組み立てた文章で回答してよいことになっていますが、できれば質問音声の中で流れた単語をそのまま使用することをおすすめします。これも、VERSANTの機械採点で正解と認識してもらうための対策です。

Part F:自由回答

パートFは「自由解答」で、2問構成です。簡単な質問に対して自由に回答します。「発音」「語彙」「流暢さ」「文章構文」のスキルを診断します。

例えば、家族についてや、個人的な嗜好についての質問が2回読まれ、それに対して自分の意見を述べます。読み上げられる文章は表示されません。回答時間は40秒です。よく出題されるパターンは「〇〇は☓☓すべき、という考え方に同意しますか?」や「あなたならAとBのどちらを選びますか?」というような2択の質問です。

対策は、事前に回答のベースとなる構成を考えておくことです。例えば、ビジネスシーンで用いられる文章構成方法である「PREP法」(結論→理由→具体例→結論を繰り返す)という構成に当てはめていくとロジカルな回答をすることができます。またVERSANTはスピーキングテストであり、回答の内容が正しいか間違っているか、については重視されていませんので、内容について考えすぎて無言になってしまうことは必ず避けましょう。

VERSANTでハイスコアをとるために必要な英語力

VERSANTで高得点をとるために、身につけておきたい英語力とはどのようなものなのでしょうか。

基礎的な単語・文法の知識

VERSANTで高得点を狙う際に必要とされる語彙力や文法知識レベルは、それほど高くはありません。高校レベルの単語数、中学レベルの基礎文法を最低限マスターしていれば対応できるでしょう。すでにある程度の語彙力・文法力がある受験者は、やみくもに語彙力を増やすことよりも、既存の知識をいかに会話の中で自然に使いこなせるようになるかが重要です。リスニング・スピーキングの練習を優先的に行うことをおすすめします。

単語ひとつまで正確にリスニングする力

VERSANTでは、読み上げられた音声を間違いなく繰り返す問題もあります。特にパートB「復唱」では、たとえ同じ意味だとしても、読み上げられたものと異なる単語・語尾を使用して回答すると減点対象となります。

単語一つ一つを正確にリスニングする力を身につけるためには、「ディクテーション」という勉強法が非常に効果的です。1文を聞き終わるごとに音声をストップし、聞こえてきた文章をノートやメモ帳に手書きで再現したり、その文章が何と言っていたのかを実際に声に出したりします。ディクテーションでは、「a」や「the」などの冠詞まですべてもれなく書き出します。かなりの集中力が必要となり、この勉強法を続けることでVERSANT向けの英語リスニング力が大幅にアップします。

正しい発音でスピーキングする力

VERSANTでは、リスニングが完璧にできても、最終的にスピーキングを機械に聞き取ってもらえなければ得点できません。採点者が人間の場合よりも、正しく発音をするよう心がけましょう。大きな声ではっきりと答えることが重要ですが、発音を誇張したりせず、自然な流れの英語で回答しましょう。

正しい発音といわれても、日本人が話す英語はどうしても日本語訛りになりがちです。「日本語訛りのある英語は採点上、不利になるのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃると思います。
VERSANT公式サイトによると、採点基準において、各受験者の母国語の訛りがマイナス評価にはなるか否かについては明確には述べられていません。しかし、機械が採点する以上、ネイティブの発音に近いほど望ましいのは明らかです。多少は訛っていても大丈夫ですが、極端なカタカナ英語になってしまうと機械に聞き取ってもらえず、高得点を取りにくくなるでしょう。

発音に苦手意識がある方は、「フォニックス」で発音矯正を行うことをおすすめします。フォニックスとは、英語において、綴り字(スペル)と発音との間に規則性を明示し、正しい読み方の学習を容易にさせる方法の一つです。日本では、ローマ字から英語学習をスタートすることが一般的ですが、英語圏の子どもが英語を覚える際は、フォニックスが用いられます。

フォニックスでは、例えば「発音 /k/ は c, k, ck のどれかで書かれる」のように、ある発音がどの文字群と結び付いているかを学びます。これにより、知らない単語が出てきても、すぐに正しい発音ができるようになるのです。日本人英語学習者も、まずはフォニックスで発音を覚え直すことで、本場のキレイな発音ができるようになります。正しい発音が身につくと、同時にリスニング能力もアップし、VERSANTで求められる総合的な英語力の底上げにも繋がります。

アウトプット実践の場としてのオンライン英会話

VERSANTで求められる英語のリスニング力・スピーキング力を上げるには、普段から積極的に英会話の機会を作ることが効果的です。日本にいながらにして英会話をするためには、英会話スクールに通ったり、外国人の集まるバーやレストランに行って友達を作ったりするのも効果的ですが、なかなか時間の取れない方に一番おすすめのアウトプットの場はオンライン英会話です。

オンライン英会話の強みとして「時間や場所を選ばない」「通学スクールよりも安価である」「英語発言の機会がたくさんある」は強調しておきたいポイントです。オンライン英会話なら、残業で遅くなった時や、急に予定がなくなって時間が空いた時にも英語レッスンを受けられます。また、ネイティブ講師からフィードバックを得られるため、発音矯正やスピーキング力の養成も可能です。

VERSANTスピーキングテスト対策まとめ

VERSANTは全63問、6つのパートから構成されるスピーキングテストです。文章構文・語彙、流暢さ・発音の4つのスピーキングスキルと、総合的なスピーキング能力が評価されます。

VERSANT対策には、採点者が機械であるという点を意識し、パート別の出題パターンを理解すること、そして必要に応じて、フォニックスでの発音矯正やオンライン英会話でのアウトプットを増やすことが効果的です。他の英語試験とは内容・対策ともに大きく性質が異なりますので、VERSANTの受験を検討中の方は、この記事を参考に、リスニング・スピーキング力の集中アップを試みましょう。

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